大阪地方裁判所 平成2年(わ)2050号 判決 1991年1月11日
本籍
大阪市中央区高麗橋四丁目三二番地
住居
大阪府箕面市半町一丁目一五番三号
古陶磁器販売業
藤原裕
大正一三年三月三日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官梶山雅信出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四八〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大阪市北区太融寺町七番一〇号において、古陶磁器販売業「藤原李青堂」を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 昭和六一年分の実際総所得金額が五五五七万一一一六円あった(別紙総所得金額計算書(一)及び修正損益計算書(一)参照)のにかかわらず、売上げの一部を除外したほか、実際の所得金額とは関係なく、適当な所得金額を記載した内容虚偽の所得税確定申告書を作成するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、昭和六二年三月六日、大阪府池田市城南二丁目一番八号所在の所轄豊能税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分の総所得金額が八一三万九九七〇円で、これに対する所得税額が一三九万九四〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二七三九万五六〇〇円と右申告税額との差額二五九九万六二〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れた
第二 昭和六二年分の実際総所得金額が一億五八六六万一〇五二円あった(別紙総所得金額計算書(二)及び修正損益計算書(二)参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、昭和六三年三月八日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分の総所得金額が八五九万四〇六八円で、これに対する所得税額が一三五万三三〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額八七二一万二〇〇〇円と右申告税額との差額八五八五万八七〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れた
第三 昭和六三年分の実際総所得金額が一億五五一五万二〇四六円あった(別紙総所得金額計算書(三)及び修正損益計算書(三)参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、平成元年三月七日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が九〇五万八二三五円で、これに対する所得税額が一四六万一〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額八一八二万九四〇〇円と右申告税額との差額八〇三六万八四〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れた
ものである。
(証拠の標目)
(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。
判示全事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書三通
一 被告人に対する収税官吏の質問てん末書一八通
一 前川登及び藤原俊哉に対する収税官吏の各質問てん末書
一 収税官吏作成の各査察官調査書(9ないし18)
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 豊能税務署長作成の証明書(7)
判示第一の事実について
一 豊能税務署長作成の証明書(4)
一 収税官吏作成の査察官調査書(20)
判示第二、第三の事実について
一 片岡八千代に対する収税官吏の質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書(19)
判示第二の事実について
一 豊能税務署長作成の証明書(5)
判示第三の事実について
一 豊能税務署長作成の証明書(6)
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、各罪につき情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金四八〇〇万円に処し、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは、金一五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 三好幹夫)
別紙 総所得金額計算書(一)
<省略>
<省略>
別紙 総所得金額計算書(二)
<省略>
<省略>
別紙 総所得金額計算書(三)
<省略>
<省略>
別紙 税額計算書
<省略>